三津田信三『禍家』感想|雰囲気は最高、でもラストが惜しい

読書

なんか面白そうな本ないかなと思って色々検索していたら三津田信三さんの名前が出てきたので、とりあえず図書館で借りてきたのがこの一冊。

なんか見るからに怖そうな感じの表紙ですね。普段ホラー小説はそんなに読まないんですが、ホラー・ミステリーということなので、ちょっと読んでみることにしました。

あらすじ

もうすぐ中学生になる棟像貢太郎は祖母とともにある街に引っ越します。来たことがないははずの場所なのに、近所に住む謎の老人が「ぼうず、おかえり…」とつぶやきます。貢太郎自身も、なぜかこの街を知っているような気がします。そして、彼の身には次々と不思議な事が起き始めます。それは一体なぜなのか、貢太郎が感じている既視感と関係があるのか。友人になった礼奈とその謎の真相を探っていく…。

ネタバレなし感想

のっけから訳が分からないことを言う老人とか、なんかヤバそうな森とか、ホラーっぽいものが登場します。街中を歩いているのは日中のことも多いはずなんですけど、なんか変に薄暗いような印象を受けます。よくホラー映画とかにある、日中なんだけどちょっと暗くてザラついた感じの映像っていうんですかね。あんな感じ。起きる出来事の内容的に、これ解決できんのかな。というか、これミステリーなのか?みたいな内容で、先が気になって読み進められる感じでした。ただまぁなんだろう。その後ラスト付近は結構な急展開で、ちょっと置いてきぼりになったまま話が終わったっていう感覚になりました。ミステリーというよりはホラーのほうが割合多いかな。不気味とか、恐怖っていう点では良かったけど、謎解きとかそういうものを期待しているとちょっと裏切られるかなっていう感じでした。

ネタバレあり感想

なんかラスト付近で、主人公たちを助けてくれていた詩美絵がいきなり貢太郎の家にやってきて襲いかかってくるという展開。その前にも詩美絵は貢太郎の様子を伺っていたり、なんか怪しげな点があったといえばあったんですけどね。そして、詩美絵はかつて貢太郎が同じ家に住んでいた頃に起きた一家殺人事件の犯人の妹で、森の祠から出たであろう怪異による祟り的なものの「順番を守る」ために貢太郎を狙っていたと。そして、万が一に備えて持っていた礼奈の兄の携帯電話を通じて危機を察知してもらった結果、詩美絵は兄と同じように射殺されるという結末を迎えます。

詩美絵達家族は兄の影響を強く受けていたというような話だったので、まぁ同じようなことをするっていうのは分からなくもないんですけど、家の中に出てきた怪異とかは結局どうなるのとか疑問は残ります。どうやら貢太郎の家族が警告のために怪異として出てきたようですが、警告だけして満足して帰ってくっていう感じなのがどうもねぇ。助けてくれるとかならわからんでもないんですが。詩美絵の脅威は取り除かれましたが、結局祠にいたものとか、警告に出てきたご家族とか、そのあたりはどうなっちゃったんだっていう謎が残ったままだし、どうやら詩美絵の後を継ぐであろう者の存在を匂わせて終わるので、解決はしていないってことなんでしょうね。ホラーとしてはいい感じに怖くて良かったんですが、なんとなく納得は行きませんでした。

もう少しミステリーよりな作品も読んでみたいなと思ったので、次は「厭魅の如き憑くもの」を読んでみようかなと思っています。

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